Ken Murata のレースレポ

Instagramから避難させました、主にレースレポです

2021.2/21「2020-2021大磯クリテリウム第4戦」ミディアム1組目

まだまだ世界的に混乱が続いている中で、開催を続けている大磯クリテリウム

軒並みレースが中止や延期となってはいるものの、対策を万全にして、レースの場を提供していただけることは本当にありがたく、頭が下がります。

毎年大磯シーズンになると1度はどこかで参加したい気持ちもあり、2021年最初のレースとして、2月の大磯に標準を合わせました。

トラブルやアクシデントが続いたりもしましたが……。

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◆当日まで◆

前回のレース、袖ヶ浦チャレンジが終わってから、12月と1月は基本的にベースを鍛えようと乗っていました。

FTPを上げる目的ではなく、その後の高強度に耐えられる体力と地足を整備するためのトレーニングって感じで。

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淡々と同じ強度で一定走

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ときどき刺激を入れつつも

2月に入る頃から強度を上げていって、2月21日の大磯に合わせよう、って計画でしたが、もう少し高強度の開始時期を早めてもよかったかな、とも思っています。

そうするとベーストレーニングからの切り替えを早くしないといけなくなるわけで……結果的にはこれでよかったのかな。

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強度を上げてインターバル

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1分間のインターバル

 

 ◆まさかの出来事◆

本番まで1週間を切った頃、母方の祖母が他界しました。

もう長くない、というような事は耳にしておらず、個人的には本当に突然で、信じられない気持ちでいっぱいでした。

職場にお休みをいただき、このご時世なので親族のみでの葬式と通夜でしたが、眠っている祖母を見ても現実とはとても思えず。

小さい頃は細かいことをたくさん注意され、優しくも厳しい方だと思っていましたが、大人になった今、ようやく言葉の意味が分かるようになったことがたくさんあります。

四十九日が終わって仏様になる前に、祖母に勝つ姿を見せたい。

その思いを胸に秘めて、当日を迎えることとなりました。

 

◆作戦◆

1周約900m、1周パレードランを含めた15周。

今回は苦手なクリテリウムということで、どうしてもスプリント勝負になってしまう可能性が高く、そうなると勝機があまりないのは明白でした。

ミディアムクラスになると実業団で走っている選手も多く、一発芸に優れた選手もいる可能性があったことから、もう無理矢理にでも自分の土俵に引きずりこむしかないかと。

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大磯クリテリウム公式より画像拝借

スタートライン直後のコの字コーナー(平塚コーナー)

S字からのバックストレート

Uターン(小田原コーナー)からのホームストレート

具体的に言うと、前半は息を潜めて、後半から徐々に集中力を高め、最終盤に一気にアタックからのそのまま逃げ。

そのアタックも、誰かを引き連れてしまうとスプリント勝負になってしまう可能性があるので、一発で決める為の全力アタックからの単独逃げを狙うこと。

逆に言えば、単独で抜け出せたら絶対に負けない、くらいの気持ちでいきました、どちらにせよスロースターターなので序盤の方は何もできないでしょうし。

狙うのは小田原コーナーと言われるUターンの後、立ち上がりのダンシングが終わって集団がまたひとつにまとまりそうになった瞬間、一気に踏んでそのままゴールまで。

ラスト2周くらいが狙い目かな、ということで、スタートラインに立ったのでした。

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当日朝の体内データ、体組成計を買い換えたので体脂肪率が高くなりました(涙)

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祖母のこともありバタバタした結果、TSB高めのCTL低めに

 

◆レース開始直後のアクシデント◆

1周パレードランの後リアルスタートが切られ、一気に速度が上がったまま平塚コーナーへ。

少しスピード出しすぎじゃないかな?

と思った瞬間、前の選手がオーバースピードでコースアウト、自分も釣られてパイロンへと突っ込む、最悪すぎる立ち上がり。

落車もしなかったので止まりもせず走り続け、幸い集団もスピードがそこまで速かったわけではなかったので、しばらく集団最後尾をヒラヒラ。

まぁまだ始まったばかりだし、全然マイペースで走ってていいや、と思っていたのですが、見ていた知人はずっと最後尾だったので少しハラハラしていたとのことでした。

全然余裕だったんですけどね。

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赤いパイロンに突っ込んだ黒とオレンジの自転車です

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集団最後尾にて、下ハン握ってますが結構余裕で走ってます

 

◆最後尾からの最前線へ◆

開始5周ほど後ろの方を走り、そろそろ少しずつ位置を上げていくか、と思い前へ。

と言っても集団の真ん中から後ろ1/3くらいのところで静かにしていたのですが。

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集団内部で静かに走る図

残り5周ほどになった頃でした。

自分のスイッチが入ったのか、それとも集団の空気が変わったのか、一瞬ピリっとした感覚がありました。

あ、ここは気を抜いちゃいけない場面だ、そう感じたのは確かです。

ここから一気に集中力が上がったのが自分でも分かりました、この空気に乗り遅れたら負ける。

自分の中でスイッチが入っただけだったかもしれませんけど。

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S字でのコーナリング、なんだかんだ足を回したままクリアできる

残り4周、集団中盤をキープして上がる隙を伺う。

残り3周、小田原コーナー手前で一気に上がり、ホームストレートでもそのままの勢いで一気に集団最前列に。

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溜めていた足をここから一気に使います

そのままスタートラインを通過し残り2周へ。

前には少し間が空いてSBCの選手が1人。

そこまでガンガン行こうとしていなかったので、S字を超えた辺りでスッと後ろに入らせてもらう。

交代を促してくるかと思いきや、そのまま小田原コーナーまで。

小田原コーナーに入る直前に、VC福岡の選手が後ろから出ようとしていたので、少し減速しつつ小田原コーナーをクリアして、前へと出す。

先頭から、SBC、VC福岡、そして私Team Tacke。

Uターンの立ち上がりでダンシングしてスピードに乗せて、腰を落として、後ろからも選手が来て、集団がまとまろうとするタイミングでした。

この瞬間をずっと待っていた、ギアを上げて右から一気にアタック。

これしか勝機はない、失敗は許されない全力アタック。

ラスト1周の鐘が聞こえてきて、スタートラインを通過するタイミングで後ろを見ると、後ろが追えず単独逃げ状態に。

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勝った。

早すぎるかもしれませんが、この瞬間に思いました。

この状況と展開だったら、いくら集団に人がいようが、追いかけっこじゃ絶対に負けない。

そんな自信がありました。

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あとは全力で逃げるのみ

逆に単独逃げの方が、コーナーは楽なんですよね。

自分のスペースで曲がれますし、立ち上がりも自分のリズムですし。

風はありましたが、昔から向かい風は得意なので、全く気にならず。

小田原コーナーでも自分の予想以上に差が開いていることを確認しつつ、気をぬかずに最後まで全力でゴールまで。

後続に約1.8秒差で単独逃げ切り勝ちを決めました。

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◆レースが終わって◆

まずはほっとした気持ちと少しの武者震いと。

自分が立てた作戦がここまでドンピシャにハマり、自分がそれを実行した事実に興奮していました。

自転車のレースは基本的に、1番最初にゴールラインを通過した選手が優勝となるルールの場合が多いので、とりあえず前半うまくいかなくても後半で巻き返したりができるわけで。

今回はスタート直後にパイロンに突っ込みましたが、それが帳消しどころかお釣りがくるくらい完璧なレース運びができました。

おそらくスプリント勝負になっていたら、勝てていなかったでしょう。

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表彰式

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見事1位!

自分の得意な分野に引きずり込んで戦うというのは、勝負の世界では鉄則ではありますが、それを実行できるかというのはまた別問題であり。

そこに引きずりこむためには、さぁどうしましょうか、となっていくのが駆け引きに繋がっていくのだと思います。

難しいですね、また同じようなレースをやってみろと言われても、できるか分かりません、やろうとすることはできますが。

またそれも自転車レースの奥深さなのかもしれませんね。

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優勝商品はアスリチューンの補給ジェルをセットで!

表彰式が終わったあとは、着替えてそそくさと家路に。

港北PAに立ち寄って、勝つ定食ならぬ勝った定食を。

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ロースカッタ定食

いろいろとうまくいかないことも多いですが、逆にここまでうまくいくこともあるんだなぁと思ったレースでした。

次に大磯に出るときは、1つ上のエキスパートクラスに出なければいけないので、そこでもまた今回のようなレース展開ができるように、また精進していきたいと思います。

そしていつも切磋琢磨してくれて今回もたくさん写真を撮ってくれたチームメンバー、自転車仲間、応援してくれる方々、みなさんの支えがあるからこそ、こうやって自転車趣味を続けていけるのだとも思っています。

このような世界状況の中でも、レースを開催してくださる主催の方々に最大の感謝を。

そして今回のレースの勝利を、亡くなった祖母に捧げたいと思います。

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◆レースデータ◆

Time:20:22.647

Dis:13.2km

AV.Sp:39.0km/h

MAX.Sp:55.0km/h

AV.HR:168bpm

MAX.HR:190bpm

AV.Cad:95rpm

AV.Pw:282w

MAX.Pw:935w

NP:322w

EG:344KJ

 

【順位】

1位

 

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