春に開催予定だった袖ヶ浦チャレンジ。
延期が決まり、12月開催のアナウンスがされたのが随分と前だった気がするけど、気がついたら当日になってしまうわけで。
前回のひたちなかでの反省を踏まえて、いろいろとチャレンジしてみようという心持ちでした。
◆当日まで◆
160kmのレースということで、今まで参加したレースの中でぶっちぎりの最長距離。
距離だけ見れば走りきる体力はあるはずなので、調子の維持がマスト。
調整も特に特別なことはせずに、少しずつ本番に向けて練習量を減らしていって、疲れを抜いていく程度に。
◆作戦◆
160kmという長丁場なので、できるだけ足を使わないようにして補給もしっかり摂りつつ完走あわよくば上位を狙っていく……というのが本来だと思うのですが、今回はちょっと違う方向性を持って走ってみようかと。
完走、は狙わず、足を使ってでも位置と集団内のポジションを確保しに行って、結果的に足が終わって完走できずとも仕方ない、という考えでした。
先のツール・ド・ひたちなかでは、落車でレースが即終了してしまったこともありましたが、集団最後尾でのインターバルのかかり具合を体感し、さらに集団走行及びパワーの出し方が下手すぎる欠点が見えてきました。
なので今回は、集団でいいポジションを維持するために足を使っていって、それで完走できなくても仕方ないよね、ってスタンスでいこうと。
たぶん今の感じだと「集団内でも先頭の方に位置をして!」とか言っても、できないと思ったんです。
やってみて、DNFになっちゃっても、今回はいっか、くらいの気持ちでした。
それに集団内でいい位置にいれたら、自然と足も使わなくなるだろうと思いましたし。
他の作戦と言えば、長い距離だったので補給を多めに持って行く、ドリンクも950mlと750mlの2本体制で。
結果を先に言うと、補給もジェル1つとスポーツようかん半分、ドリンクに至っては500mlほどしか飲まなかったので、そこそこの重りを装備したまま走っていましたが、こればっかりは分からないので仕方なかったですね。
◆レース前半◆
スタートは非常に穏やかに、自然と集団になって特に危なげなし。
ホームストレートから右に曲がって登り、登ったら長い下り、からの急なヘアピンカーブ。
ここは特に攻める必要があるわけでもないので、自分が曲がれると思う速度までしっかり速度を落として曲がって……としたのですが、周りに一気に抜かされ置いていかれる。
えぇ……なんでそんな速度で曲がって行けるの……とか思いつつヘアピンのすぐ後の登りをクリア、インターバルその1。
そこから若干の下り区間があって、からの再度ヘアピン、また置いていかれる、インターバルその2。
少し登ってホームストレートに戻ってきて1周2.4kmをあと65周、先が長い。
流石に安全にいきすぎたのだろう、ということで下りからのヘアピンの前のブレーキを、先ほどよりかはかけないで速度を出していってみようと。
下って、少し右に緩やかに曲がって、からのヘアピン。
後輪が滑る感覚が一気に戻ってきたのは、その瞬間でした。
フラッシュバックなんて名前のもんではなく、単にビビっただけだと思いますが、結局前と同じブレーキ量と同じ減速と同じインターバルをこなして、また1つ周回を終了。
前回のツール・ド・ひたちなかでの落車は、思っている以上に自分の中で大きな出来事となっていたようです。
今回は雨も降っていない完全ドライな上にタイヤを新しいものと交換してきているので、滅多なことがない限りは滑らない、とは分かっているのですが、ヘアピンに入る前のブレーキがどうしても多くなってしまいます。
また他の周では、右肘を粉砕骨折した瞬間まで蘇ってきて、一層曲がるスピードが遅くなり。
怖い、本当に。
あのときも下りの右コーナーだったな、などと余計なことを考え始め、もう集団の位置とか前方に上がるとか、そんなこと気にしていられる心理状況ではなくなりました。
追い討ちをかけるように、20周が終わった頃から尿意を催し始め、いつレース途中でトイレに行くか、いつレースを降りるか、の脳内会議が頻繁に開催されるようにもなってきました。
まだ足はあるけど、そのうちこのインターバルでなくなるだろうし、トイレ行きたいし、怖いし、いつ止めようかなぁ、と。
◆レース中盤での経験値獲得◆
惰性で40周ほど走ると、100kmカテゴリの方々と集団が分裂し、比較的和やかペースに。
尿意も消えるわけではありませんが、ある一定の間隔から増えることもなくなりまして、まぁ走り続けられる程度には収まってくれていました。
100kmカテゴリの先頭集団がゴールした後も、そのままそこまで速度は上がりませんでしたが、ヘアピンでの個人的インターバルは絶賛開催中でした。
一瞬集団の先頭まで上がることもできたのですが、交代がうまくいかず後ろから「回して〜」の声がかかってしまい。
そりゃずっと中〜後付近にいて前方の交代の空気も分かっていない奴が先頭に出るとこうなりますね、大変失礼しました。
そこからなんとか先頭付近に留まろうとはするのですが、やっぱりヘアピンで遅れ、気づいたら集団後方へと戻される。
ずっと前の方にいたいんだけどなぁ、と思うことしかできずに走っていました。
そしてまた下りながらインターバルもといヘアピンの準備をしていると、右からスッと出ていく人が。
特徴的なカラーの自転車に乗っている、有名なホビーレーサーの方でした。
誰も後ろに入っていなかったので、後ろにつかせてもらうと、ヘアピンが。
走行スキルを上達させるためには、上手い人の後ろにつく、とはよく言われますが、まさしくこの状況ではないかと。
この人の後ろにピッタリついたまま曲がればクリアできるはず、それでコケたらこの人のせいだ!と失礼なことを考えつつヘアピンに侵入していきました。
今までとは明らかに違う速度で。
今までとは明らかに違うブレーキ量で。
今までとは明らかに違う走行ラインで。
今までとは明らかに違う倒し込みで。
ヘアピンをクリアし、集団についていけていました。
正直、こんな身体倒しこんでいいの!?って感覚でしたが、次のヘアピンも見事にクリア。
ようやく分かった瞬間でした。
◆レース終盤◆
ヘアピンが来る度に「ブレーキかけるな!いけるから!!」と頭の中で叫びながらのコーナリングでしたが(本当にやってました)前半に比べて明らかにインターバルがなくなりました。
前半での足のダメージが悔やまれつつ、順調に周回を減らしていき残り10周。
今回は2人で参加していたのですが、もう1人が足つりでこの時点で離脱。
私を気にして後ろまで下がってきてくれていたりしたので、足も使わせてしまったかな、と少々申し訳ない気持ちに。
残り4周、の下りからのヘアピン、の先の登り。
集団の中ほどにいたのですが、先頭付近がそのまま踏んでいる、ように見えたんです。
ここが踏みどころだ、躊躇したらここでレースが終わる!
最近手応えを感じている登りのダンシングで加速し、一気に集団の前方へ。
これが正解だったようで、残り3周回から一気にペースが上がり、残り3周(64周目)では1周のタイムも最速で、レース中のNPも最高値を出していました。
65周目も終始集団前方に位置し、ついにラスト周へ。
全体的に爆速になるのかと思いきや、登りの上がるところは上がりますが、そうでないところは今までと変わらず。
最後のヘアピンを抜け、一瞬速度が緩み、ホームストレートへの登りで一気にかかる。
正直勝負としてはこの瞬間に決していて、着順にからんだのは前から4人目くらいまでかな、って感じでした。
ホームストレートに入り、最後の踏み、をしようとして、初めて自分の足のダメージに気づきました。
160km走ってからのスプリントなんてできないよなぁ、と思いつつ、全力ではないにしろ踏みながらゴール。
着順は分かりませんでしたが、10位くらいかな?という位置でした。
◆振り返ってみて◆
まずレースが終わって、すごくホッとしました。
落車なく終われたこと、今までの最長距離、そして高速度での集団やコーナー。
怖かった面も非常に多かったのですが、明らかに経験値を大量取得できた手応えがありました。
出せるパワーや速度が優秀だったとしても、スキルがなければそれは活かせない、というのを見事に実感しているこの頃ではありましたが、こうやって数を重ねてスキルも身につけていければと思っています。
完走できなくても、とは思っていましたが、結局走っていたら最後までいきたくなりましたし、トイレも我慢できましたし、その上で非常にいい経験ができたので、大満足のレースとなりました。
開催していただいた関係者の方々、一緒に参加してくれたチーム員、本当にありがとうございました!
◆レースデータ◆
Time:3:52:26
Dis:160.1km(160.8km)
AV.Sp:41.4km/h(40.88km/h)
MAX.Sp:54.9km/h
AV.HR:149bpm
MAX.HR:177bpm
AV.Cad:90rpm
AV.Pw:221w
MAX.Pw:898w
NP:272w
EG:3,077KJ
【順位】
9位